2025年日本の老人ホーム月額費用と高齢者施設の価格一覧
渡辺美佳 • May 14, 2025 • 5 min
2025年の日本における老人ホームの月額費用は、施設の種類や地域、サービス内容、介護度などによって幅があります。一般的に介護付き有料老人ホームの月額利用料は10万円~20万円台であり、10万円台の施設が全体の約3割を占めています。一方、特別養護老人ホーム(特養)は月額6万円~15万円ほどで、公的施設として比較的低価格です。入居一時金(入居時に一括で支払う費用)は、不要の施設が増えており、2025年調査では約30%が入居一時金なしとなっています。以下では2025年の最新情報をもとに、主要な老人ホームタイプの費用相場や特徴を紹介します。 ---

2025年の老人ホーム月額費用の概要
2025年の介護施設入居者の月額費用の多くは10万円台であり、10万円~20万円台が広く見られます。高齢化の進行により施設のニーズが増加し、多様な生活スタイルや介護サービスにも対応しています。
- 介護付き有料老人ホーム:月額16万円前後が平均的な相場。食費・居住費・介護サービス費を含みますが、保険適用外のサービスは別途自己負担の場合があります。例えば、理美容サービスや特別なリハビリプログラムなど、追加オプションを利用すると費用が上乗せされることがあります。
- 特別養護老人ホーム(特養):介護度3以上の要介護者が対象。入居一時金は不要。月額費用は6万円~15万円程度で、料金設定は比較的安定しています。公的施設であるため費用の上昇は抑えられていますが、入居申し込みの競争が激しく、待機期間が長い点も考慮が必要です。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):月額10万円前後から30万円程度。自立から軽度の介護が必要な方向けで、介護が必要な場合は外部サービスを利用します。地域により民間企業や自治体が運営する施設が混在し、サービス内容や費用に差があります。
- グループホーム:認知症の方が対象で、月額12~20万円程度。家庭的な共同生活を行い、比較的低コストです。専門の認知症ケアスタッフが常駐し、日常のサポートを手厚く受けられるのが特徴です。
- 介護老人保健施設(老健)や介護医療院:月額7~17万円程度で、医療的ケアが必要な方向けです。リハビリテーションに力を入れている施設が多く、退院後の在宅復帰を目指す場合に適しています。
費用は地域により異なり、東京都など都市部では月額20万円以上の施設も多く、地方では7万円~15万円が一般的です。都市圏では人件費や地価の高騰が費用に反映されていますが、地方では競争が激しいため比較的リーズナブルな料金設定の施設が多い傾向にあります。
入居一時金の概要と特徴
入居一時金は、入居時に支払う初期費用で、多くの民間施設では数百万円から数千万円になる場合があります。2025年では、入居一時金不要の施設が増えており、全体の約30%を占めています。入居一時金が不要の施設では、月額費用がやや高めに設定される傾向が見られます。
入居一時金の支払い方法の例
- 全額前払い:入居時にまとまった負担がありますが、月額料金を抑えることがある。一時金を前払いすることで、月々の負担が軽減されるプランもありますが、長期入居する場合に総額でお得になることが多いです。
- 一部前払い+月払い(併用方式):初期負担軽減と月額の安定を図る形式。例えば一時金の一部だけを支払い、残りを月払いに分割する契約も見られます。
- 月払いのみ:初期費用が不要ですが、長期間では総額が高くなる可能性があります。入居のハードルは低くなりますが、長期滞在を考える場合は結果的に高額となるケースもあるため注意が必要です。
契約書には「初期償却」(返還されない部分)が設定されていることが多く、退去時に未消化分が返還される場合もあります。例えば、解約時に入居期間に応じた償却期間が設定されているため、契約内容をしっかり確認し、将来的な返還額のシミュレーションを行うことが望まれます。入居契約時には、これらの内容をよく確認することが望ましいです。
主な高齢者施設タイプの費用目安(2025年データ)
介護付き有料老人ホーム
- 月額費用:10~40万円(平均16万円前後)
- 入居一時金:0円~数千万円(平均約180万円)
- 特徴:24時間の介護体制。食事や日常生活のサポートがあり、医療ケアの相談も可能。介護度により費用が変わることがあります。医療機関との連携体制が整った施設は、より安心して入居できるため人気が高く、価格帯も高めになる傾向があります。
特別養護老人ホーム(特養)
- 月額費用:6~15万円(主に8~13万円帯が多い)
- 入居一時金:不要
- 特徴:介護度3以上の方が対象。公的施設であり費用が比較的低い。利用希望者が多く、待機期間が2~3年になることがあります。入居申込は自治体ごとに異なり、早めの申込みや必要書類の準備が重要です。
住宅型有料老人ホーム
- 月額費用:10~50万円(平均11万円前後)
- 入居一時金:0円~数千万円(平均約68万円)
- 特徴:介護サービスは外部利用が中心。自立から要介護まで柔軟に対応。生活の自由度が高い一方で、介護が必要になると追加費用がかかることもあります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 月額費用:10~30万円程度
- 入居一時金:0~数十万円
- 特徴:自立生活者向けが多く、介護が必要な場合は外部サービスを利用。賃貸契約が基本。施設によっては見守りや生活相談サービスが充実している場合もあります。
グループホーム
- 月額費用:12~20万円程度
- 入居一時金:不要~数百万円
- 特徴:認知症の方対象の小規模共同生活施設です。認知症ケアに特化した専門スタッフが常駐しており、認知症の進行状況に合わせた対応が可能です。
地域による費用差
日本全国で老人ホーム費用に地域差があります。都心部では地価や人件費上昇により、入居一時金や月額費用は高めになる傾向があります。たとえば東京都では平均入居一時金が約446万円、月額費用は約28万円程度となっています。一方、地方や地方都市では入居一時金不要の施設も多く、月額費用は10万円以下~15万円程度が多く見受けられます。
また、地方では地域の自治体が支援する低価格施設が増加傾向にあり、地元の住民にとって利用しやすい環境整備が進んでいます。施設選びの際は、居住地からのアクセスや医療機関との連携状況も確認するとよいでしょう。
介護保険制度と費用軽減のポイント
日本の介護保険制度を利用することで、介護サービス費用の自己負担割合は原則1~3割に軽減されます。要介護度が高いほど給付額の上限も増えます。さらに、低所得者向けには公的な居住費・食費の負担軽減策や補助金が地方自治体で提供されています。
また、医療費控除や高額介護サービス費支給制度の活用も考えられます。これにより、介護費用の負担軽減につながる場合があります。例えば、高額介護サービス費制度を適用すると、1か月あたりの自己負担額に上限が設けられ、負担軽減につながる仕組みです。これらの制度を最大限活用するためにも、市区町村の窓口で最新情報を確認し、自分に適した補助制度の申請を積極的に行いましょう。

入居と費用計画でのポイント
- 費用の変動に注意:月額費用は居室の種類、介護度の変化、オプションサービス利用などで変わることがあります。契約時に費用の内訳をよく確認し、資金計画を立てることが大切です。介護度が上がると自己負担が増える場合もあるため、将来的な変動も予測して余裕を持った計画を心掛けましょう。
- 家族と費用負担の話し合い:入居費用は本人のみならず、家族が負担する場合もあるため、事前に話し合うことが望ましいです。資産状況や年金収入、退職金などを踏まえたリアルな計画を立てることが必要です。
- 施設の特徴の確認:費用だけでなく、介護体制や設備、医療連携、レクリエーション等の内容も検討材料に加えましょう。実際に見学や体験入居を利用して、生活イメージを掴むことが重要です。
- 待機期間の把握:特別養護老人ホームなど人気施設は待機期間が長いことがあるため、早めの申込みを検討してください。候補施設を複数保持し、待機期間中の生活支援策も併せて検討しましょう。
- 契約内容の確認:入居一時金の返還規定、クーリングオフの有無、保全措置についても契約時に確認が必要です。不明点は必ず専門家に相談し、納得の上で契約してください。
生活資産の活用と老人ホーム入居にともなう住宅問題
2025年、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護施設へのニーズが一層高まっています。その入居資金の準備として、多くの高齢者とその家族が所持する住宅資産の扱いが重要な課題となっています。介護施設への入居にはまとまった費用が必要なため、自宅の売却や賃貸に出す「家じまい」をするケースが一定数存在しますが、調査によると入居者の約2割が実際に自宅を売却し、約2割が空き家状態にしていることも明らかになっています。
自宅を売却することで得られる資金は入居一時金や月額費用の補填に充てられ、より良い施設を選ぶための経済的な余裕を生み出します。一方、空き家にしておく場合は、管理費用がかさむことや近隣トラブルが懸念されるため、家族間で管理方法を早期に取り決めることが賢明です。
また、住宅資産を活用した資金調達方法の一つに「リバースモーゲージ」があります。これは住宅を担保に金融機関から定期的に資金を借りる制度で、介護費用の確保に役立ちます。2025年の状況では、リバースモーゲージの利用が徐々に増加しており、高齢者自身が自宅を売却せずに資金を得る新たな選択肢として注目されています。
さらに、介護施設入居後の自宅の活用では、賃貸に出して家賃収入を得ることで、介護費負担の一助にする家族も増えてきました。しかしこの方法も賃借人との契約管理や住宅の維持補修が必要であり、専門家のアドバイスや自治体の支援制度を活用しながら慎重に進めることが求められます。
介護施設の入居に当たり、住宅資産の現状整理と活用計画を早期に家族で話し合うことは、2025年の超高齢社会における安心した老後生活を支える上で欠かせないポイントの一つといえるでしょう。
まとめ
2025年の日本における老人ホームの月額費用は、10万円~20万円が主流で、施設の種類や地域、介護度、サービス内容により異なります。特別養護老人ホームは公的施設として比較的低料金ですが、待機期間や利用条件等に注意が必要です。介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅はサービスが充実していますが、費用も高めの傾向があります。
費用負担軽減には公的補助や医療費控除の活用、家族内での資金計画共有が重要です。入居検討の際は複数施設を比べ、費用の詳細やサービス内容を確認して、長期的に安心できる選択を心がけましょう。住宅資産の活用と売却・管理問題も含めて2025年の最新データを活用し、計画的な準備と情報収集を行うことが充実した老後生活を実現する鍵となります。
Sources
- LIFULL介護「老人ホームのお金は誰が支払っている?老人ホーム入居実態調査【お金編】」
- 安心介護「【種類別・都道府県別】老人ホームの費用相場|ケース別料金シミュレーション」
- シニアホーム窓口ナビ「老人ホームの費用は高い?施設の種類や負担を減らす公的補助を解説」
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